コンクリートで育む
社会とチームワーク
コンクリートという材料は、ふだん意識することはないですが、身の回りに数多くあります。つまり、コンクリートとは我々の生活を支える橋や道路といった社会基盤施設(インフラ)を作るための社会的な材料です。近年は、橋、トンネル、上下水道など現代社会の基盤を支えるコンクリートの老朽化が社会問題となりつつあります。
コンクリート工学研究室では、コンクリートの耐荷性や耐久性を調べる実験研究を行い、長持ちする橋の構造やコンクリートの配合などを考え社会基盤の維持発展に貢献しようしています。ここ最近力を入れているのは、高速道路など道路橋における車の荷重を支えるコンクリート製の床「RC床版」が材料劣化を受けながら疲労で破壊するメカニズムを探る研究です。学生が卒業研究を通して収集した実験データは、福島県内のみならず東北地方の長持ちする道路橋の建設のために役立てられています。学生が卒業研究で取り組む主な研究では、大型の鉄筋コンクリート試験体を作製し、破壊状態などを調べるといったリアルな実験でデータを得る方法を採用しています。また安全意識は技術者にとって大切ですので、研究活動においては、このような意識を高めるように努めています。
社会の形成に不可欠なコンクリート。
社会基盤の維持発展に貢献するため
7つのテーマを掲げ研究しています。
さまざまなタイプの疲労試験ができる
設備を整えています。
輪荷重走行試験機
小型輪荷重走行試験装置
環境温度制御式万能載荷試験装置
1000kN静的載荷試験機
※試験装置は構造・道路工学研究室(岩城教授・前島助教)と共同使用しています。
日本大学工学部 教授
子田 康弘KODA, Yasuhiro
- 専門分野コンクリート工学
-
研究方針
●コンクリート構造物の維持管理に役立つ研究
●コンクリート構造物の耐久性を構造性能の視点から評価する研究
●品質の高いコンクリート構造物を施工するために必要な技術の開発
-
研究内容
●コンクリート構造物の補修補強
●コンクリート構造物の材料劣化と疲労耐久性
●寒冷地特有のコンクリート構造物の劣化機構の解明
-
担当科目
基礎力学/基礎構造解析学及び演習/
コンクリート構造学及び演習/材料実験/
建設マネジメント及び施工法/コンクリート構造学特論 -
卒業・修了
●日本大学卒業[1996(平成8)]
●日本大学大学院工学研究科土木工学専攻
博士前期課程修了[1998平成10] -
出前講義
小中高校を対象に実施しています。
-
研究室の教育方針
コンクリート工学研究室では、社会に羽ばたく前の学生最後の1年間であることを強く意識し、"「社会人」として"時間、約束、きまりを守る"という他者から信頼される基本的な行動を身につけるため、随時、個人の資質の中にある短所を指摘し改善を促します。また、今後「土木技術者」としてのスキルを醸成するための準備として"知識や教養および経験をふだんから心がけて身に付けようとする"姿勢を養うためにモノの見方考え方の方法を指導します。
-
卒業研究テーマについて基本方針として「世のため人のため」というモチベーションが底流にあります。卒業研究にいそしんでください。その研究をおもしろく、興味深い研究へと深化させましょう。
-
主な研究室の活動卒業研究にともなう実験活動など(通年)
卒研ゼミ(原則週1回)
現場見学(随時)
懇親会(随時) -
当研究室の特徴長い期間続けて、一緒に何かの活動に取り組み、苦楽を分かち合い、かつ協力、協調のなかでがんばることでしか達成感は味わえないと考えてます。コンクリート工学研究室で過ごした1年間はそのようなチームが自然と形成されます。一緒に「学び合う」という経験を味わってほしいと思っています。
-
大学院進学希望の学生へまず、大学院へ進学せず就職した場合、卒業研究として研究に携われる期間は1年弱しかありません。この期間に学べることや体験できることは、限られます。(なお、国公立大学は、大学院進学率が高く院生になることは当たり前とも言えます。)
卒研生から大学院と3年間研究室に所属して、コンクリート工学という専門性を高めつつ自分の個性、適性を発見する、これは社会に出てからではなかなか気付くまでに時間がかかります。また、研究室の活動を通じて他大学や企業とかかわることで、学部生の時には全く視野に入らなかった業種、企業に自分の特性と合わせ興味を持ち、結果として自身の進路を確定させます。このような就職は、自身の進路に納得がいっており満足度が高くなる傾向になります。もちろん生涯賃金も高くなる傾向です。そこで当研究室は、大学院への進学を勧めております。学生生活が終わった後の長い社会人としての人生を考えてみてください、大学院の2年間は、自分への"投資"です。進学について考えている、迷っている学生は、一度相談してみてください。